Japanese
English
症例報告
出産後に自覚した鱗状毛包性角化症(土肥)の1例
A case of keratosis follicularis squamosa Dohi developed after delivery
波田野 冴佳
1
,
下田 由莉江
1
,
山﨑 好美
1
,
大山 学
1
Sayaka HATANO
1
,
Yurie SHIMODA
1
,
Yoshimi YAMAZAKI
1
,
Manabu OHYAMA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Kyorin University School of Medicine, Mitaka, Japan
キーワード:
鱗状毛包性角化症
,
土肥
,
妊娠
,
出産
,
活性型ビタミンD3製剤
Keyword:
鱗状毛包性角化症
,
土肥
,
妊娠
,
出産
,
活性型ビタミンD3製剤
pp.841-846
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207416
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要約 29歳,女性.初診3年前の第2子出産後より鼠径部に皮疹を自覚した.皮疹は下腹部にも拡大した.近医にてステロイド軟膏を外用したが改善に乏しく当科を紹介受診した.初診時は妊娠2か月で,両側腹部から鼠径部にかけて5 mm大の褐色斑が多発していた.皮疹中央に黒点があり周囲には円形膜様の鱗屑がみられた.皮疹部からはcoagulase negative Staphylococciが検出された.病理組織学的に過角化と拡張した毛包漏斗部内に角栓と,グラム陽性球菌を認め鱗状毛包性角化症(土肥)と診断した.尿素軟膏,ビタミンD3軟膏外用により改善した.本症の本邦既報症例は自験例を含め39例と稀であった.既報症例の誘因・増悪因子として,妊娠,細菌叢の変化や衣類の摩擦などが推察されていた.本症は出産後に性ホルモンの変動や体重増加などの誘因が解除されれば自然軽快するといわれることがあるが,自験例のように長期持続しうることを念頭に置くべきと考えられた.
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