Japanese
English
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腎,尿管に発生せる重複腫瘍の1例
A CASE OF DOUBLE-CANCER IN KIDNEY AND URETER
石沢 靖之
1
,
石沢 芳和
1
Nobuyuki ISHISAWA
1
,
Yoshikazu ISHIZU
1
1九州大学医学部泌尿器科教室
1Department of Urology, Kyushu University School of Medicine
pp.9-11
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203668
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I.緒 言
1個の生体に2個以上の腫瘍病巣を認める場合その大部分が原発巣1個を有する転移病巣である。これに対し2個以上の腫瘍が各々独立性を有し全く異つた母地より発生した場合,原発性多発癌,あるいは重複癌と呼ばれている。重複癌は1860年Billrothが,本邦では1901年林がその1例を報告して以来世の注目を浴びて来たが1932年Warren and Gatesが重複癌の定義ともいうべき3条件を提唱して以来その報告は次第に数を増して来ている。しかしながら泌尿器科領域における重複癌の報告は比較的少く,とくに2個の腫瘍が泌尿生殖器に限局せる報告は極めて少ない現状である。今回われわれは尿管癌の診断の下に右腎摘および右全尿管摘出術を施行した例で術後はからずも腎腫瘍と尿管腫瘍を有する重複腫瘍の症例に遭遇したので報告したいと思う。
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