Japanese
English
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皮革皮膚炎の臨床的観察—特に貼布試験成績について
CLINICAL OBSERVATIONS ON LEATHER DERMATITIS : WITH SPECIAL REFERENCE TO THE RESULTS OF PATCH TEST
斎藤 文雄
1
Fumio SAITO
1
1東邦大学皮泌科教室
1Department of Dermatology and Urology, School of Medicine, Toho University
pp.1037-1046
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203635
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I.緒言
皮革皮膚炎は皮革の接触により起る一種の接触皮膚炎で,古くより帽子の汗止めの人造皮革,またはフエルトによる前額部の皮膚炎(Stirnek-zem,Hat band dermatitis)が知られ,その後色色の真の皮革製品(靴,手袋,グローブ,ジャケツ,時計バンド,財布,ズボン吊等)による皮膚炎が報告されたが,本邦では皆見1)により時計革バンドの皮膚炎が報告されている。しかし皮膚炎の原因となる皮革中の成分が知られるようになつたのは比較的近年である。皮革ではクロム鞣法により製品化される軟い革が最も皮膚炎を起し易いので,当然クロム鞣皮革中に数%に含有されるクロム塩が問題となり,アレルギー性のChromatedermatitisを発生する。このような患者は他のクロムを含有するクロム鍍金,ステンレス鋼,セメント,マッチ,染料,塗料,洗剤等による皮膚炎の合併が問題となる。皮革皮膚炎は発汗の著しい夏季に発生し易く普通年間の頻度はごく少数であるが,昭和36年,37年と異常高温が続き多数の発生をみたので,ここ数年間に行なつた貼布試験の成績を中心として臨床的観察を試みた。
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