- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
わが国初の「夜尿症診療ガイドライン」が日本夜尿症学会から発表されたのは2004年である1)。この診療ガイドライン(guideline:GL)では,国際小児尿禁制学会(International Children’s Continence Society:ICCS)に基づいた疾患の定義と用語の統一を行ったこと,夜尿を呈する器質的疾患を提示し鑑別の重要性を明らかにしたこと,夜尿症の治療戦略について国内外のレビューが行われたことが,2016年以降のわが国の夜尿症(nocturnal enuresis:NE)GLの礎になっている。海外では2004年以降に3つの代表的な夜尿症GLが相次いで発表された。このうち,2010年にICCSが発表した単一症候性夜尿症(monosymptomatic nocturnal enuresis:MNE)に対するGLでは2),夜間多尿かつ膀胱容量が正常であればデスモプレシン,それ以外の症例ではアラーム療法を第1選択とする診療アルゴリズムが提示された。このICCSのGL作成を受けて,日本夜尿症学会では2015年3月よりGL改訂作業に着手し,2016年にGL作成委員会により『夜尿症診療ガイドライン2016』(GL2016)が刊行された3)。このGL2016では,NEの総説に続き,16個のclinical question(CQ)に対して回答をする形式でCQの解説文が記載された。さらに,NEの専門家でなくても適切に診療できるように,2004年版にはなかった夜尿症診療アルゴリズムが初めて示された。このGL2016の発刊後5年が経過した2021年にGLが再改訂され,『夜尿症診療ガイドライン2021』(GL2021)が発刊された4)。この最新のGL2021では昼間の下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)への対応などを含めた新規の診療アルゴリズムが示された。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.