Japanese
English
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陰嚢癌の1例
A CASE OF CARCINOMA SCROTI
堀江 徹也
1
Tetsuya HORIE
1
1順天堂大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, School of Medicine, Juntendo University
pp.145-148
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203443
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I.はじめに
陰嚢癌についての最初の記載はBassius(1731)とTreyling(1740)のそれであると考えられているが,英国ではかなり古くからchimney sweeper's cancerとして知られて居り,Pott(1775)は「ある特定の人達にのみ起る従来注目されなかつた疾病,即ち煙突掃除夫の癌」と題する論文中これは常に陰嚢下部に生じ,表在性で疼痛あり,固く隆起した周辺をもつ潰瘍で,職人達はこれをススイボと呼び,その原因は陰嚢皮膚の雛襞中に煤煙が入り込み,その刺激により生ずるものと思われると述べている。
陰嚢癌は欧米に於て多くの症例報告と統計的観察がなされているが,本邦では皮膚癌の発生頻度自体も低く,就中陰嚢癌の発生は稀である。
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