文献紹介
新産児皮膚硬化症のステロイドによる治療,他
pp.778
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203348
- 有料閲覧
- 文献概要
1948年まで新産児皮膚硬化症(Sclerema neonatorum)の生存率は25%であった。その後コルチコステロイドの治験例が発表されたが,本剤の効力はなお不明である。著者は25例についてその効果を実験した。診断としては,生後始めの数週において瀰慢性に速かに拡大する非浮腫性の獣脂様色を示す皮下組織の硬化を本症とした。11例にはコルチコステロイをド与えた。すなわち10例には総量50〜275mgのハイドロコーチゾンを,1例には総量60単位のA.C.T.H.を投与した。この11例中生存したものは1例で,他の1例においては硬化は軽快したが,生後第8日に死亡した。合併症で多かつたのは脱水による下痢と臨床的気管支肺炎であつた。14例はコルチコステロイドを与えなかつた。このうち3例が生存し,1例は皮膚の寛解を生じたが,生後第10日に死亡した。最も多い合併症は気管支肺炎で,2例は血便を排出した。以上の実験から死亡率はコルチコステロイド投与の有無にかかわらず高いことが判つた予後は硬化病変の広さに関係する。
(Levin,S.E.Bakst C.M.& Iss-erow,L:Brit.med, J.Dec.9,1533,1961)
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.