紹介
単純性疱疹,他
pp.217
発行日 1962年3月1日
Published Date 1962/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203238
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単純性疱疹の初感染は多くは1〜5歳の間に起り,症状は疱疹性歯肉口内炎である。初感染が成人に生ずることは稀である。伝染は屡々泡沫感染による。疱疹ウイールスは人体に甚だよく適応し,感染した人の60%は終生保菌者である。持続的の菌排出者も実証されている。潜伏性の疱疹感染は誘発性刺激(月経,妊娠日光照射,薬物,伝染病)によつて急性の典型的小水疱を発生する。人体において疱疹ウイールスを殺滅する薬剤は知られていない。抗生物質とスルフオンアミドは二次感染を防止するのみである。従つて治療は症候的で,水疱を早く乾固させることに向けられている。昇汞,液状フエノール,イヒチオール,エーテル,アルコール等の効果は思わしくない。頑固な症例に自家血清注射,自実血液の局所注射,人工太陽燈,X線,牛痘リンパも用いられるが,大なる効果を期待し得ない。最近ハイドロコーチゾン軟膏によつて頓挫させるという進歩がもたらされたが,その有効率は高いとはいえない。新しいステロイド(トリアムシノロン,メチルプレドニソロン,デキサメサゾン)による経験は,個体によつて反応が甚だ異なること,およびデキサメサゾンは甚だ小量で効果をあげうることを明らかにした。著者は口唇疱疹14例と陰部疱疹2例にデキサメサゾンを経口的に毎日4mgあるいは筋注毎日5mg投与した。
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