Angiokeratoma corporis circumscriptum naeviformeの1例

A CASE OF ANGIOKERATOMA CORPORIS CIRCUMSCRIPTUM NAEVIFORME

I．緒　言

　血管腫様変化の表面に角化増殖を伴う皮疹は広義に被角血管腫Angiokeratomaと名づけられる。独立疾患としてはミベリー氏被角血管腫の他に老人性変化としても，母斑様変化としても屡々，広義の被角血管腫が見られる。本症はLeistikow（1898）に依り初めて報告された。Bettmann（1909）は角化性血管腫Angioma keratosumとして報告，Fabry（1915）はミベリー氏被角血管腫より体部被角血管腫を独立し，その母斑性発生を指摘した。即ち偏側性に四肢に好発し，角質増殖を伴う血管性母斑乃至血管腫に母斑様体部被角血管腫Angiokeratoma corporis naeviformeと命令した。比較的に稀な疾患で従来種々の名称で呼ばれて来た。数例を文献よりあげると，

Naevus angiomatosus Weber（1918）

Naevus vascularis Abramowitz（1924）

Angioma verrucosum Wertheim（1924）

Naevus angiokeratosus Bruhns（1924）

Angioma and verrucous naevus Mac Kee（1926）

Naevus angiokeratosus et verrucosus Wether（1929）

Naevus angiokeratosus Fuhs（1929）

Angiokeratoma cavernosum Tommasi（1938）

等である。本邦では土肥（明治36年）が最初に報告して以来現在まで16例を数えるに過ぎず，又欧米に於いもThimbiah（1954），Loria（1958）に依れば33例に過ぎない。最近著者等も本症を経験したので報告する。