Japanese
English
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ω-Ethylmercurithio undecanoic acid軟膏(トリコクリーム)の抗白癬作用に就いて
THE THERAPEUTIC EFFECT OF ω-ETHYLMERCURITHIO-UNDECANOIC ACID (TRICHOCREAM) ON DERMATOPHYTOSIS
高橋 伸也
1
,
福士 堯
1
Shin-ya TAKAHASHI
1
,
Gyo FUKUSHI
1
1東北大学皮膚科
1Department of Dermatology, Tohoku University School of Medicine
pp.366-371
発行日 1959年4月1日
Published Date 1959/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202527
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近年,諸種脂肪酸及び其誘導体の抗白癬作用が検討せられ,ウンデシレン酸,カプリル酸,カプリン酸及びカプロン酸等に菌発育阻止作用が認められ1)2)3)同時に臨床的にもウンデシレン酸並にカプロン酸誘導体が皮膚糸状菌症の治療剤として有効なる事が実証せられた4)5)6)。而して人間の皮脂にはカプロン酸,カプリル酸等数種の脂肪酸が含有せられ,此等の酸の分泌が殺菌作用を顕わして人間の皮膚を細菌の感染から防ぐ役割をなしているとも云われている。それ故脂肪酸の或るものは生理的なものでありそれを薬剤として用いた場合副作用が極めて少ないことは当然考えられ,外用剤として理想に近いものと思われる。其後,本系統に属する新らしい抗白癬剤の誕生を見るに至らなかつたが,ウンデカン酸の硫化水銀化合物であるω—Ethylmercurithio-undecanoic acid(以下EMUと略記)が,試験管内実験により,T. asteroides,T. interdigitale,T. rubrumに対し最低発育阻止濃度がそれぞれ,2γ/cc,1γ/cc,0.5γ/cc,と可成り高等の静菌作用のある事が認められ,今回我々は藤沢製薬の提供により本剤を0.2%,0.5%に含有する軟膏の抗白癬作用を動物及び臨床実験で検討した結果,極めて良好な成績を得たので茲に報告する。尚EMUは次の構造式を有する。
CH3 CH2 HgS(CH2)10 COOH
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