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特集 小児の皮膚泌尿器科疾患
停留睾丸
RETENTIO TESTIS (UNDESCENDED TESTIS)
落合 京一郎
1
Kyoichiro Ochiai
1
1東大分院泌尿器科
1Dept. of Dermatology. Tokyo University Branch Hospital.
pp.1251-1258
発行日 1957年12月16日
Published Date 1957/12/16
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202143
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I.睾丸の降下現象
胎児期の睾丸は腹部にあるが,漸次下降して出産時には大体陰嚢内におさまるのが普通である。この現象を睾丸の降下(Descendus testis)というが,この睾丸の降下には2つの時期を区別することができる。胎生のごく早い時期には,睾丸の上極は略々横隔膜の高さに位置するが,10〜12週ごろには腹腔の骨盤との中間まで降下してくる。この降下までを内部降下(internal descent)といゝ,恐らくこれは胎児上半部の発育が下半分のそれより速いこと,睾丸繋帯などの形成による下半分への固定などが主因をなすものと考えられる。次に,この腹腔内の位置から陰嚢内へと降下する現象が外部降下(external descent)である。
この睾丸の降下現象,特に外部降下がどのようにして行われるか,その機転はまだすつかり判つていないが,この現象で重要な役割を演じているものゝ一つに睾丸靱帯(Lig.testis)のあることは確からしい。充分に発育した胎生期睾丸の靱帯はHanter氏睾丸繋帯(Gubernaculum testisHunteri)とよばれ,緻密な索状物として睾丸下極から鼠径管を通り陰嚢底に連なつている。発生学的にはこの繋帯構成に4つの部分を区別してるが(拙著(1)などを参照),要するにこの4つの部分の上下がそれぞれ連絡して睾丸繋帯という索状物を形成するわけである。
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