Japanese
English
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スポロトリコーシスの1例
A CASE OF SPOROTRICHOSIS
船橋 俊行
1
Toshiyuki Funabashi
1
1関東逓信病院皮膚科
1Dept. of Dermatology,Kanto Teishin Hospital
pp.1074-1077
発行日 1957年12月1日
Published Date 1957/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202114
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スポロトリコーシスは従来比較的稀な疾患とされてきたが,わが国においては西沢・田辺1)の報告以来すでに50余例2-38)をかぞえている。特に昭和20年を境にして報告例の増加はかなり顕著であり,そのうちでも非定型的な症例の慎重な検索の結果,本症と決定されたものがすくなくない。この点から皮膚科診療に当つて一応念頭に置くべき疾患ということができる。本症の原因菌はSporotrichum schenkiiである。これは自然界では特に植物に腐生菌的に棲息していると考えられ,偶々外傷を契機として人体に病変を惹起するものである。従つてその部位的発生頻度は第1表の如く,四肢,顔面,頸部等露出部に多いことは当然である。
本症の臨床型を本邦報告例についてみると第2表の通りである。即ちリンパ管型とは,菌の侵入部位にいわゆるスポロトリコーシス下疳を形成,リンパ管に沿う転移を来して皮下,または皮内に索状硬結乃至結節を生ずる型である。これは最も普通に遭遇する病型で,症例の過半数をこれが占めている。
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