Japanese
English
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Serpasilによる手掌足蹠多汗症の治療
THERAPEUTIC RESULT TO HYPERHIDROSIS PALMO-PLANTARIS WITH SERPASIL.
鳴海 淳郎
1
Junro-Narumi
1
1東京逓信病院皮膚科
1Tokyo Teishin Hospital
pp.925-928
発行日 1957年10月1日
Published Date 1957/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202075
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I.緒論
久野教授1)は嘗つて手掌足蹠にみられる発汗が身体の他部位にみられる発汗とその発汗刺激の異ることを指摘し,これを精神性発汗と呼び,その発汗中枢は温熱性発汗より更に高位にあり,恐らく大脳皮質に位するものと考えられた。この種発汗は既にその名称の示すようにあらゆる精神的緊張に際して認められる。もともと,この発汗には個人差が著しく認められるものであるが,その中にあつてその発汗が正常の変動値をこえて極度に亢進しているものがある。これを手掌足蹠多汗症(Hyperhi-drosis manum et pedum 又は emotional hyper-hidrosis,intention hyperhidrosis)とよび皮膚科に於ける一独立疾患をなしている。
本症ではその個人の日常生活に於て可成りの障碍を与えるためにこれについて診療を求めるのは相当多数みられるのであるが,本症の治療は割に困難で,これに対する適切な治療法を見出し得ない状態であつた。著者はたまたま最近とくに話題を呼んでいる精神神経安定剤tranquilizerの一つであるSerpasilに注目して,これを本症の治療に供し,幸にある効果を認め得たのでここに報告する。
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