Japanese
English
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小児に於ける多発性腎結石の1例
A CASE OF MULTIPLE NEPHROLITHIASIS IN A CHILD
内田 健三郎
1
Kenzaburo Uchida
1
1東京医科大学泌尿器科
1Department of Urology, Tokyo medical College
pp.521-523
発行日 1957年6月1日
Published Date 1957/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201983
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I.緒言
腎及び尿管にある所謂上部尿路結石が診断されまた治療される様になつたのは,本邦では1920年以後である。それ以前は多くは膀胱結石のみが取扱はれていた様である。この事は泌尿器科学の進歩,即ち「レ」線診断及び手術々式の進歩によるものである。一昨年の泌尿器科学総会の宿題報吉(稲田教授)″結石の臨床と実験″によれば,上部尿路結石は全結石症の61.79%(腎結石27.60%),(尿管結石34.20%)を占めている事が明らかとなつた。下部尿路結石は,38.21%(膀胱結石30.82%),(尿道結石5.76%),(前立腺結石1.62%)である。即ち上部尿路結石の方が上位にある。また結石患者の頻度は泌尿器科患者総数の3.84%に相当するという。又同氏は昭和10年〜29年に至る20年間に於ける本症の年度的消長を見ると,昭和20年には低下しているが,その後再び上昇し,特に最近に至つて上部尿路結石の増加が著しい事を示している。
性別及び年令別に就いては,男女の比は85%;15%であり,年令では21〜40歳代に多く,20歳以下及び60歳以上即ち小児・老人ではその発生率が低い事が指摘されいる。また茲に報告する多発性結石,珊瑚状結石の如きに至つては小児に於ては成人に比較して極めて稀であると記載されている。
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