泌尿器科図譜・70・71
精液瘤/尿管瘤の蛇頭形象
藤田 幸雄
1
1福井市藤田皮泌科医院
pp.1-2
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201858
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患者,68歳,男子,会社員。何等誘因なく約5年前より左副睾丸頭部の腫脹,時々の鈍痛を主訴として来院。左副睾丸頭部に拇指頭大,多少凹凸不平で境界明瞭な弾力性硬の腫瘤を触れ,副睾丸結核の疑いで手術を行つたが,嚢腫状腫瘍であつたので除睾術に変更した。その他の泌尿生殖器系統には異常を認めない。剔出標本の肉眼的所見は第1図,2図に示す如く,睾丸と副睾丸頭部の間に単胞性,多少凹凸のある嚢腫(縦径3cm,横径2.5cm,厚さ2cm)で,その内容は乳自色稍々溷濁せるも,沈渣なく精虫を認めない。このものはVas efferenceから発生せるものと思考する。又睾丸白膜下,副睾丸体部に半米粒大の小なる嚢腫を見る。組織学的所見は第3図,4図に示す如く,副睾丸頭部の大なる嚢腫の内腔表面は扁平上皮,その他小型のものは円柱上皮で被われておる。
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