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循環系ホルモンの泌尿器科的応用
中川 清
1
1九州歯科大学第一解剖学教室
pp.526-528
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201739
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I.緒言
1926年Frey & Krautは膵臓で作られ,膵臓に貯臓され,インシユリンを含まず,尚化学的本体は未だ充分に解明出来て居ないが平滑筋の痙攣,特に血管攣縮の緩和作用を有する物質を発見し,是に循環系ホルモン(Kreislauf hormon)と命名した。此の物質はエピネフリンの作用を中和し交感神経の平滑筋にに対する刺戟を緩和,抑制するものとされ,血管痙攣を原因とする諸疾患に応用される様になつた。しかし乍ら泌尿器科的利用は未だ充分と云えない。即ち市川教授はLazarus(1936)に做い本邦に於いて始めて之を尿路結石.自然排泄法に利用し,更にSinger(1946)の報告に従い,排泄性腎盂撮影法に本剤を用い好成績を納めた。余もこの事実に着目し,早くより興味を抱いて居たものであるが最近吉富製薬よりBayer製のカリクレイン,第一製薬よりSharp & Dohm製のデプロパネクスの若干を提供され,幸い自由に試用する機会を得た。次に少数例ではあるが見るべぎ結果を納めたと信ずる為め此処に報告して諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
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