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新しい経静脈性腎盂造影剤 Sodium 3-acetylamino 2,4,6 Trijodobenzoateの使用成績に就て
川村 太郎
1
,
谷口 馨
1
1金沢大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.91-96
発行日 1956年2月1日
Published Date 1956/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201609
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緒言
静脈性腎盂撮影を施行する際に用いられる理想的な造影剤としては,毒性のないこと,影像の鮮鋭なること,適度な時間内に早く,且完全に排泄せられること等が要求せられて居る。この目的に滑う様今迄に種々の製品が創られて来て今日に到って居る。本邦に於いては高橋教授,土屋,石津氏(皮尿法,30巻,昭5)以来スギウロンが日常の泌尿器科診断に広く用いられて居ることば周知の如くである。思うに経静脈性腎盂撮影法の特長の主たるものが2つある。その1は逆行性腎盂撮影に比して患者に与える苦痛の少いこと,その2は膀胱,尿道等の病変のために尿管膀胱鏡の挿入不能の場合乃至尿管通過障碍のため尿管カテーテル挿入不能の場合に於いても之を実施し得る点にある。他面,経静脈性腎盂像はその影像が逆行性のものに比して稀薄なため腎盂尖端等の微細な病変の診断に困難を感ぜしめる場合のあること,竝に或程度以上の機能を保有する腎臓でなければその影像を得ることの出来ないこと等の不便がある。此の現象を利用して経静脈性腎盂撮影像を腎機能検査に応用し,造影の無い側即ち患腎と判定することも出来るわけであるが,造影不能の側の腎盂につき更に消息を知り度い場合には甚だ物足りない感じがする。殊に前述の如き尿路あ通過障碍に因つて逆行性撮影の不能の場合,造影力のよりよい製剤,換言すれば機能のより低下した腎臓に於いても腎盂像を与えるような製剤の出現が切望されるわけである。
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