特集 皮膚泌尿器科診療の進歩〔2〕
前立腺症
近藤 厚
1
1岐阜県立医科大学泌尿器科
pp.1203-1211
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201581
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緒言
前立腺症(Prostatism)とは,膀胱頸部の閉塞性疾患に起因する排尿障碍の総称である。その共通の症候は排尿困難乃至尿閉であつて,前立腺肥大症のそれが代表的なものである。その原因となる疾患の範囲に就ては,人によつて解釈が異り,特に所謂膀胱頸部疾患は後述の如くその定義が甚だ漠然としている。そこで混乱を避ける為に,先ず前立腺症の原因を器質的疾患のみに限定し,機能的な原因は神経乃至筋性障碍として分離する事とする。
前立腺症を起す器質的疾患の大部分を占めるものは,前立腺肥大症及び前立腺腫瘍(主として癌)である。之等の外に前立腺の腫大無くして,同じ様な排尿障碍を起す疾患がある。即ちGuyon(1889)がProstatisme sans prostateと称したものである。この疾患群は後述の如く,種々の名称で呼ばれているが,此所では膀胱頸部疾患と総称する事にする。従つて前立腺症の原因となる疾患は,次の如く分類される。
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