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ヒステリー皮膚症の1例
中島 一
1
,
国見 秀範
1
1久留米大学医学部皮膚泌尿器科教室
pp.917-919
発行日 1955年10月1日
Published Date 1955/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201522
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緒言
皮膚神経症の特殊な形として一定の皮膚障害とともに意識的ないし衝動的に,これにたいする一定の精神的傾向を有する神経症性皮膚症ともいうべきものが存する。すなわちノイローゼに基因すると思われる蕁麻疹,浮腫,疱疹,壊疽などの変化が考えられる。
Arzt-Zielerによれば.皮膚神経症のうち狭義の機能的神経症として,Erythema fugax,Urtica-ria psychia,Herpes hystericus,hysterischeHautgangränなどを包含させている。しかしながらこれら浮腫,疱疹,壊疽などの間にはそれぞれ移行型ないし混合型の存在することが明かになるにつれ岩崎はすべて同一疾患に属するものとして多発性神経性皮膚壊疽として統括されるのが普通であると述べている。しかして本症の原因も種種雑多で反射神経説,自己暗示説,自傷説,内分泌説,有毒性代謝説などがあげられているがいずれにせよ本症は女性に多く,大部分がヒステリーその他神経症状を有し,特癸性のことも多いが,またしばしば外傷を誘因として発生し,局所皮膚の感覚障害を訴えることが多い。
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