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皮膚科領域におけるクロロフィールの治験について
石田 啓
1
1新潟大学医学部皮膚科教室
pp.515-518
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201458
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緒言
Chlorophyllは所謂ホメオパシー療法に属する非特異刺戟療法であつて,即ち原形質賦活作用によつて,病巣細胞の活力を増進し,初めに減少している白血球及びトロンボチーテンを増加し,フイブリノーゲン,血糖及び血清の殺菌力を増強する。この様な各種の反応によつて,有害刺戟に対する感受性を高め,生理的機能(例えばホルモンの分泌)及び自家防衞力(例えば抗体形成)を増進して,疾病の治癒を促進すると云う原理に基いて,効果を表わすと云われている。先にWillstätter(1913)がChlorophyllの構造を決定し,種々の誘導体を作り,1920年に臨床応用を試みた。又Bürgi(1937)はChlorophyll軟膏が創傷治療剤として有効なことを発表し,更にFrey-Wyssling(1938),Köhler(1939)等がChlorophyllin-Natriumの銅塩として合成及び化学構造が明確化し以来各種疾患に応用する様になつた。
我が教室では近年日本衞材から発売されてあるサクロフイール(クロロフイリン・ナトリウム銅塩)をカーボワツクス100瓦中に1瓦の割合にて調製し,クロロフイール・カーボワツクスとして,昭和28年7月以来,当科外来を訪ずれた糜爛,湿潤,化膿症状を併発した各種湿疹,膿皮症,真菌症,火傷,皮膚結核症及び哆開した創面,壊死竈症例等計79例に応用した治験を報告する。
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