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フオツクス・フオアダイス病のテストステロン・プロピオネート親水軟膏治験例
花井 定彦
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1東京大学医学部附属病院分院皮膚科
pp.397-398
発行日 1955年6月1日
Published Date 1955/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201451
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Fox-Fordyce病は1902年Fox及びFordyceにより報告されて以来,諸家の症例追加があり,極めて稀有とするには当らない。その原因,病理に関しては,Fischer,北村等はアポクリン腺の分泌に先ず異常を生じ,延いて腺上皮特に排泄管の夫れの増殖,毛嚢上皮の同様の変化,毛嚢口に於ける角栓の形成を,次いで真皮に細胞浸潤を来すものとし,此の説は諸家の賛同を得ているが,遡つてアポクリン腺の分泌に異常を来す原因は今日もなお全く不明と云つてよい。
元来アポクリン腺分泌は女子に於ては思春期に開始,閉経期に至つて衰退し,又月経期間中に亢進し(Loeschcke),妊娠期間中に抑制される等(Loeschcke,Pinkus,Richter),女子性腺内分泌に支配されると云われているが,本症も亦女子では思春期から閉経期の間に発病,月経前期から月経期間中にかけて症状の増悪すること多く,又妊娠期間中にはその自然に軽快する(Pautrier,Grschebin,Cornbleet)との観察がある。然も又本症は屡々各種の月経障碍を伴うとされ,更にSenear 及び Wien,Burgess等は卵巣摘除後本症の発生せるを,Beinhauserは卵巣嚢腫を伴う本症の2例を報告している。
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