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我々の手術用包茎鉗子に就いて
近喰 利光
1
,
平井 敏之
1
1日本医科大学附属医院皮膚科
pp.399-401
発行日 1955年6月1日
Published Date 1955/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201452
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我々はこれまで介助者なしに包茎の手術を行わねばならぬ機会に屡々遭遇した。陰茎の固定は困難であり,殊に縫合に際して簡単な固定術式の必要性を痛感した。
そこで写真の如き鉗子を試作試用してみた(1)。写真(2)以下は鉗子(B)を不完全包茎に使用した時のものである。麻酔は陰茎根部で行い,手術部位に鉗子がかけ易いようにしておく。まず包皮を2個所において夫々2本,計4本のペアン氏鉗子で挾み,その間を切断(2),包皮を2片に分け(3),写真矢印の部で左右各々1,2針宛内外葉を縫合,鉗子をかける際の内外葉のヅレを少くする。完全包茎で包皮口の殊に狭いものでは鉗子を2本入れられるまで包皮口をあらかじめ切開する必要がある。次いで包皮片の根部に鉗子をかける(4)。写真では鉗子を見易くするため包皮片を根部方向に引いているが,実際に鉗子をかける際は包皮片を亀頭方向に引き,内外葉のジレをなるべくさける。次いで鉗子の外縁に沿い包皮断端が鉗子の外部に全く出ないよう包皮片を切除(5),鉗子の溝に針を通して内外葉を縫合し(6),鉗子をはずす。鉗子をはずした後なお多少哆開又は出血する部ある時は,そこを縫合する。この縫合は多くも1,2針で足り,手術は終了する(7)。
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