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30年間に於ける水痘並に帶状庖疹の統計的観察(第1報)—抗生物質普及前後に於ける比較検討
梶川 宏
1
,
小松 昭文
1
1東北大学医学部皮膚科教室
pp.13-16
発行日 1955年1月1日
Published Date 1955/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201347
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我教室外来に於いて,昭和29年に入つてから水痘患者が急激に増加したような感じがし,剰さえ臨牀症状例えば高熱とか,恰も痘瘡を思わせる発疹所謂膿疱性水痘が顏面にも多発するとかの症状を見る機会が多くなつて来たような気がした。以前には斯かる臨牀症状は有るには有つても,極めて僅少に過ぎず,偶々母親が入浴中乃至は着替時に被覆部の発疹を認めて,始めて水痘の感染を知る如き例,又は全経過殆んど無熱若くは軽熱で終始した例が多かつたように思う。
又帯状疱疹と水痘は,全然同一のVirusと見倣す意見と,或は両疾患のVirusを全然は同一視しなくても,極めて近似性を有するVirusであると云う見解を抱く者が多く,一般に大人を侵襲すれば帯状疱疹の像を呈し,小人に来れば水痘となるらしいと云う見解は,我々皮膚科医の常識であつた。然るにこの常識からすれば当然水痘となるべき年齢の小人に,帯状疱疹の像を呈する症例が我教窒に於て最近増加した感が有る。
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