泌尿器科圖譜・25・26
鼠徑睾丸腫瘍/潜在性脊椎裂
中西 淳朗
1
1慶大泌尿器科
pp.843-844
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201102
- 有料閲覧
- 文献概要
症例
43歳,會社員。主訴:右鼠徑部腫瘤。現病歴:幼時から右睾丸の缺損に氣付いて居たが自覺症なき爲放置して居た。1年半前から誘因なくして主訴に氣付き次第に増大し現在に至り來院。自覺症は全くない。既往歴:肺結核の外は外傷,性病を知らず。現症:右陰嚢内に睾丸を觸知せず,右鼠經部に約小見頭大の腫瘤を認め(第1圖),壓痛,波動,癒着を認めず。弾力性硬。精索は觸知せず。淋巴腺腫脹は何處にもない。血液,尿,糞便に異常なし。ワ氏反應陰性。ツオンデツク反應陰性。胸部レ線像に轉移像を認めず。入院後,除睾術を施行。第1期創癒合。術後,レ線深部照射療法を行い,4ヵ月後の現在も全身状態の異常を認めず治療續行中。剔出腫瘤9.0×11.5×7.5cm,375g,帯黄灰白色。等質性,髄様柔軟で睾丸實質は全く認めない(第2圖)。組織所見:大小の腫瘍胞巣をなすが,細精管の殘存は全く認めず。間質には小圓形細胞浸潤を認め,両細胞の増殖は著明ならず,腫瘍細胞は大型で圓形及卵圓形。原形質は比較的少く,核は濃染し,1〜2個の核小體を有す。以上の所見によりSeminomと診斷した(第3圖)。
詳細は第188回日本泌尿器科學會東京地方會にて報告した。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.