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尋常性痤瘡のビタミンB綜合注射劑による治療效果について
森安 勇
1
,
吉松 孝治
1
,
永瀨 泰三
1
1松江赤十字病院皮膚泌尿器科
pp.471-474
発行日 1953年8月1日
Published Date 1953/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201019
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まえがき
尋常性痤瘡(にきび)は,ありふれた皮膚病の1つであり,思春期に現われる半ば生理的な現象として,ともすれば輕視され勝ちであるばかりでなく,輕快と増惡を繰返すこの病氣の性質と相まつて,これほど治療效果のあがらぬ疾患も珍らしい。
もちろん,尋常性痤瘡の場合,濕疹におけると同じように,局所療法によつて,ある程度の治效は期待出來る。しかし,これのみでは全治を望み得ないのであつて,それは,本症が思春期の脂漏性素因に基づき,把握困難ないろいろの内外因が作用して發生するを思えば,當然のことといわねばならぬそのために,性ホルモン其他各種ホルモン劑の使用,抗生物質,化學療法劑の投與,治化整腸劑の内服,ワクチン劑の注射,解毒劑,體質改善藥の内用,X線,紫赤外線の照射等,さまざまな治療法が講ぜられている。いたすらに,その種類のみ多くて,抜群の效果を誇るものなく,われわれが本症の治療に當り,取捨選擇に迷うのもまた止むを得ない。
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