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成年性色素性蕁麻疹の2例
山下 昌德
1
1京都府立醫科大學皮膚科泌尿科教室
pp.82-85
発行日 1953年2月1日
Published Date 1953/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200908
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緒言
色素性蕁麻疹は1869年Nettelship1)が2年6ヵ月の小兒に發生した蕁麻疹樣疾患を初めて「褐色調を殘せる慢性蕁麻疹」(Chronic Urticaria Leaving brawn stain)と記載し,越えて1874年T.Fox1)が黄色腫樣蕁麻疹(Urticaria Xan-thelasmoidea)と記載報告し,次で1877年San-gsterが本症をUrticaria pigmentosaと命名し報告以來一般に今日迄この名稱が使用せらるるに至つた。
爾來80年外國に於ける報告例は速水2)によれば900例以上を見,本邦に於ては1905年遠山3)の報告以來97例を算うるに至つている。猶本症は6カ月未満の乳兒に初發する事多く,其の成年(思春期以後)に初發するものは極めて稀有にして,本邦に於ては僅かに遠山3),辻4),土肥(慶)及び鈴木5),高橋6),田上7),黑田並びに瀧川8),木根淵9),鈴木10),西村11),平山12),滋野13),速水14),三笑及び小出15)等の19例に過ぎない。余は最近京都府立醫科大學皮膚科泌尿器科外來に於て,成年性色素性蕁麻疹の2例を經驗したるを以て,茲に報告し,併せて二,三文献的考察を試みた。
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