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マファルゾール注射による白血球減少症を伴う單球増多症及び黄疸の各1例に就て
山田 記道
1
1日本醫科大學泌尿器科教室
pp.716-718
発行日 1952年12月1日
Published Date 1952/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200872
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緒言
マファルゾール(以下マ劑)は「サルヴァルサン」(以下サ劑)が發見される過程に於て「エーリツヒ」「泰」兩氏により製造され,之が第二次大戰中米國に於て研究,改良せられ,終戰後我が國にも輸入され「サ劑」及び「ペニシリン」と共に驅梅療法の一主流をなすに至つた。その驅梅效果並びに副作用に就ては現在迄種々の報告があり,特にその副作用に就ては本邦では,永松—藤垣氏,谷奥氏,中村—藤田氏,帷子氏,明石—加納氏,伊藤—吉田氏,鳥山氏等の報告,歐米ではBouton,Otto,Willcox,等の報告があるが,之等の報告を綜合すると從來の「サ劑」に比してその毒性は遙かに低く輕度の副作用,即ち一過性の發熱,頭痛,倦怠,悪心,食欲不振,下痢,血管痛等はむしろ多い,之に反して重篤なる副作用,即ち皮膚炎,黄疸,肝障碍,血液の變化等は非常に少く,現在迄に調べ得た諸家の報告によるも「マ劑」に於ては危險なる副作用は殆んど無いと云うのが一致した意見である。
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