連載講座 産婦人科医のための血液学・4
白血球減少症
鈴木 正彦
1
Masahiko Suzuki
1
1新潟大学医学部産婦人科教室
pp.327-333
発行日 1967年4月10日
Published Date 1967/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203683
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はじめに
白血球減少症とは白血球数が正常以下に減少している時に使う用語である。普通その減少は顆粒球系細胞の激減によるが,白血球減少症が著明になるとすべての種類の細胞系が侵されてくることが多い。しかし一般に血球の生体内における調節ということについては,著者がすでに本講座1)2)で述べたので,ここでは省略するが,要は白血球減少症といつても普通は末梢血についていうわけである。そこで減少したといつても造血器といわれる骨髄,リンパ節などで血球の産生が実際に少なくなつたのか,あるいは血液貯蔵器といおれる肝,脾,腎,肺さらに血管壁などにより多く抑留,付着して,末梢血中には一見少なく見えるだけなのか,あるいはまたこれらの貯蔵器の中にも血球が少なくなつたのかなど,問題点が種々あると思う。
本問題に関しては婦人科領域においても放射線療法,癌化学療法による白血球減少症,あるいはまた種々の薬物による顆粒球減少症など十分に知つておかなければならない事柄が多い。そこで本稿では婦人科医に必要な白血球減少症に関する知識をわれわれの実験成績,自験例をもとに,また文献的にも考察を加え,まとめてみた。
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