--------------------
膀胱結核に對するパスナール治驗豫報
鎌田 義文
1
1九州大學醫學部泌尿器科
pp.615-616
発行日 1951年12月1日
Published Date 1951/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200643
- 有料閲覧
- 文献概要
パスは水にとけにくいが,パスのナトリウム鹽はよく水にとけて,靜脈注射,局所注入,或は塗布等として用いられ,こうした目的に出來たものが第一製藥で試作したパスナール溶液である。
元來,パスが結核の化學療法剤の一つとして,數多くの治驗例があげられているが,いずれも主として内服によるもので,局所療法による治驗例としては餘り多くは述べられていない。その中でも,文献にあげられている局所療法としては,第1表の如く,結核性膿胸に對する注入,結核性腦膜炎の髄腔注入氣管支結核に對する吸入,空洞内注入,その他でいずれも10%乃至20%溶液を10c.c.乃至20c.c.用いて效果を擧げ得た例の報告である。尿路結核中,膀胱結核は膀胱内に藥液の注入が可能である所から,これが治驗例もあつてよいものと思われるが文献にはまだ見當らない。茲に於て我が教室では,昨年末より富川教授の指導のもとに,本剤の膀胱注入により膀胱結核の治驗を試み,第2表の如き成績を得たので,茲に豫報としてとりあえず報告し,更に治驗成績を重ねて追て詳細に報告しようと思う。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.