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治療上より見たアレルギー性疾患特にロイマと皮膚疾患に就て
齊藤 金之助
1
1東京都交通局本局診療所
pp.76-79
発行日 1950年2月1日
Published Date 1950/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200314
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1.緒言
アレルギー疾患とロイマ及皮膚疾患の關係や治療に關しては決して新しいものではないが,今年度整形外科學會,外科學會總會の記事やアルツス現象,シユワルツマン現象とアレルギーの關係,自律神經や間葉組織との問題を考察してみると,そこに若干研討すべき事が存する樣である.一時抗ヒスタミンが治療上注目され,アセチルヒヨリン説となつて衰へたかに思はれたが,最近ベナドリールの發見となつて再燃の形である.アレルギーは周知の通りPirquetにより導入されたものである.ヂフテリヤや治療血清や種痘に於て,同一抗原の量的時間的關係により,特異な病變が現れたり,現れなかつたりするが,現れる場合には,常に一定の潜伏期があり,且つ再注射により著しく短縮されることに着眼したのに始まり,變つた反應能力(Allergie)の新術語を提唱した.その後Dörr,Rössle,武田,緖方氏等の業績により,アレルギー學の確固たる基礎が出來たのである.アルツス現象は1903年アルツスにより,限局性組織アナフイラキンーに該當する實驗がなされ,家兎の皮膚に著明に認められる現象で,抗原により感作された動物の皮下に,該抗原を再注射すると出血壊死の急劇の反應が現はれる.これはツベルクリン反應と同一機序によるものと類推されている.
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