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サルワルサン黒皮症の2例
黑田 恭一
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1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.70-73
発行日 1948年7月1日
Published Date 1948/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200080
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梅毒の經過中或はその治療の途中皮膚色素異常の來る事あるは周知の事實で、是れに色素沈著と色素脱失とがあるが、色素沈著には梅毒そのものに因るものと、サルワルサン其他驅梅劑に因るものとがある。梅毒に因るものは特發性色素沈著症と症候性色素沈著症とに大別される。前者は梅毒の爾他症状なく色素沈著を來すもので、梅毒性色素沈著症、一名色素性梅毒が夫れ、後者は梅毒性薔薇疹、同丘疹、護謨腫性浸潤等の跡に色素沈著の生ずるものである。驅梅劑に因るものはサルワルサンに因るものを主とし、他に水銀に因るものもある。症例に依りその色素沈著を梅毒そのものに歸すべきか、驅梅劑殊にサルワルサンに歸すべきか、何れとも決し難い場合があり、又他種色素沈著症と紛らはしい場合もある。著者は茲に最近經驗したサルワルサンに因ると思はれる色素沈著即ちサルワルサン黒皮症の2例を紹介するが、その1はサルワルサン固定疹の性質を示し、その2は梅毒性丘疹に併發したもので、ともに大小の色素斑の全身に汎發したものである。
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