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ドクササコ中毒による肢端紅痛症に續發せる對側性色素異常症
伊藤 實
1
1東北大學
pp.171-172
発行日 1947年12月20日
Published Date 1947/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200046
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余は四肢に見る各種の對側性色素異常症に就て皮膚と泌尿第9卷,第5號に論述した際,凍瘡患者に後發する一種の色素異常症を紹介したが其後も同樣の症例を經驗して既に10例を超えた(男性15歳,21歳,20歳,23歳,21歳,19歳,女性歳43歳,21歳,31歳,16歳,12歳)。從來凍瘡患者の病竈に白斑を貽す事例は必ずしも稀有とは云えないが前記症例は孰れも遺傅性對側性色素異常症に酷似する顯著な所見を示す點で注目された。偶々ドクササコ中毒に因り肢端紅痛症を惹起した一家族に於て類似の病攣を續發した例に遭遇したので茲に摘録し其病理機轉に就て聊か考察しようと思ふ。
患者 高橋某 男42歳,農,宮城縣黒川郡昭和21年6月13日初診。患者は昨年10月15日一家で茸を攝食して中毒し,兩手が發赤腫脹して灼熱性の劇痛發作を起し,耐えかねたので,手を冷水に漬けて僅に疼痛をしのんだが12日間も反復持續したため手背の一部に糜爛を生じたが,半月程でその發作も緩解しやがて糜爛も全治した。其後いつとはなしに手背に色素の脱失斑を生じ漸次目立つて來た。然かも同時に中毒した家族の4名にも多少の差こそあれ孰れも手背に色素脱失を胎すに至つたと云ふが左程氣にもとめず,偶々患者が頭部に急性發疹を生じたので我外來を訪い吾人の目に觸れたわけである。
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