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結節性動脈周圍炎の1例
池田 光嘉
1
1東北帝國大學醫學部皮膚科教室
pp.43-44
発行日 1946年11月10日
Published Date 1946/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200012
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結節性動脈周圍炎は1886年Kussmaul u. Maierの記載に始まり,諸器官の小動脈系に浸潤性退行性増殖變化を示す疾患で,現在までに報告せられたものが200例を超えて居るが,概ね剖檢によつて初めて診断せられたものである。臨牀的に古くは(1)神経炎樣乃至筋炎樣疼痛(2)胃腸障碍(3)萎黄病樣衰弱を3徴として指摘され(Mayer),また腎障碍も屡々經驗される(Brickmann,Chriteller等)。原因として當初梅毒を想定せられたが必ずしも然らず,或は移植可能性(Virus)が唱へられまた血壓充進による血管障碍説乃至先天的血管壁異常等が擧げられたが,最近本症は紫斑,閉塞性栓塞血管炎,絲毬腎炎,ロイマチス等と共に血管性アレルギーの疾患と想察せられ特にGruber(1925)以來Siegmund,Nieherle,RössleKlinge馬杉等が組織アレルギーの立場からこれを支持し,また臨牀上流感アンギーナ,多關節炎等が前駆し,或は喘息の合併する點からアレルギー起源説が最も有力となつた。そして動脈周圍炎の皮膚型としては(1)結節型(2)溢血型(3)壊疽型の3類がMatrasから指摘されて居る。さて我國に於ては大正14年土肥,渡邊によりその1剖檢例が發表され,その後10數例の報告があり,特に所謂皮膚型は佐々,森山,荒田,森,竹内等から記載されて居る。余は最近所謂結節型に該當する1例を經驗した。
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