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Benzylimidazolinの皮内注射による圓形脱毛症の治療
谷野 博
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1北海道帝國大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.27-28
発行日 1946年11月10日
Published Date 1946/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200007
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- 文献概要
ヒスタミンには末梢血管擴張作用,副交感神經末梢機能亢進作用があり,これは皮膚に封しては副交感神經機能亢進性神經毒なるアセチールヒヨリンと同様な作用を及すことが想定せられる。從つてアセチールヒヨリンの局所皮内注射がよく奏效する圓形脱毛症に對してヒスタミンもまた同様の效果を奏するだらうといふことは,理論的に容易に肯かれる。然し周知の如くヒスタミンの毒性は強く,靜脈内に注射した場合犬では體重毎瓩3mgで致死せしめ,その100分の1で諸臓器の機能を抑制する。從つて遺憾ながらまづ臨床的に應用するまでに至つてゐない。ところがこゝにヒスタミン様類似物質としてImidazolinの研究がAdolfSonn(1935)によつて創められた。そして就中2Benzyl-4-5-dihydroimidazol(Ben zylimidazolin)が毒性少くヒスタミンと同様の末梢血管擴張作用を有し著明な血壓降下作用を有することがHart-mann及びIslerによつて明にせられた。本學中川内科教室に於てはこれを高血壓患者の治療に用ひまたヒスタミン類似の胃液分泌亢進作用を確認した。
よつて吾人は岩下教授の命によりこれを圓形脱毛症に用ひたのであるが,その結果は何等の危險を伴はず,優にアセチールヒヨリンに劣らない效果のあることが見出された,なほ構造式は次の如,くである
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