特集 これからの高齢者診療—循環器医が人生100年時代にどう向き合うか?
Ⅱ.高齢者に対するintensive care
高齢者に対するEVT
横井 宏佳
1
1福岡山王病院循環器センター
pp.60-65
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200447
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はじめに
近年,循環器病棟に入院する患者は30年前に比較すると急速に高齢化が進んでいるのを実感する.30年前に冠動脈ステントの臨床使用が始まった頃は,75歳以上の高齢者は強力な抗血小板療法による出血リスクのために禁忌の位置付けにあった.90年代後半から冠動脈領域で普及したカテーテル治療は下肢動脈領域にも応用され,腸骨動脈から浅大腿動脈,膝下動脈へと適応は拡大し,低侵襲な血管内治療(EVT)は末梢動脈疾患(PAD)患者の血行再建術の第一選択となっている.低侵襲治療はよりリスクの高い高齢者にも適応になるため,本邦で行われた複数のレジストリー研究からはEVT施行患者の平均年齢は75歳前後と冠動脈インターベンション(PCI)施行患者70歳よりも高齢である.本稿では人生100年時代を迎えるわが国において,高齢者に対するEVTを考察したい.
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