特集 抗血栓療法—日常臨床での疑問に応える
序文
清水 渉
1
1日本医科大学循環器内科
pp.586-587
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200412
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抗血栓療法は,抗血小板療法と抗凝固療法に分類される.抗血小板療法は,主に動脈系のアテローム血栓症を予防する目的で,血小板凝集を抑制する薬剤を用いる.一方,抗凝固療法は,主に静脈系や左房などの血栓塞栓症を予防する目的で,凝固因子を阻害し,赤血球やフィブリンによる血栓凝集を抑制する抗凝固薬を用いる.
抗血小板薬には,古くから使用されているアスピリンに加えて,冠動脈疾患患者に対してチアノピリジン系薬剤が登場し,薬剤溶出性ステント挿入後や急性冠症候群治療後の一定期間は2剤併用療法(dual antiplatelet therapy;DAPT)が行われる.しかし,DAPTにより予後に影響を与える出血性イベントが多くなるため,近年の大規模臨床試験の結果からDAPT期間は可能な限り短縮する傾向にある.抗血小板療法は,冠動脈疾患以外にも,アテローム血栓性脳梗塞,末梢動脈疾患でも広く普及している.
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