特集 冠動脈疾患のリスク管理のフロントライン
Ⅰ.冠動脈疾患イベントリスクをどう評価する?
IMTでどう評価する?
石津 智子
1
1筑波大学臨床検査医学
pp.540-544
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200295
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Point
・頸動脈は冠動脈と大動脈の第一分枝であるという解剖学的共通点があり,動脈硬化進達度が類似する.頸動脈内膜中膜厚(intima-media thickness;IMT)が体表超音波から容易かつ精度よく測定できることから,疫学研究における早期動脈硬化進達度指標として膨大な研究成果の実績がある.
・一方,冠動脈疾患のリスク管理において,頸動脈IMTを主要動脈硬化リスク因子として付加する意義については近年の欧米の研究では否定的な結果が多い.このため欧米の冠動脈疾患リスク管理のガイドラインではIMTを追加してリスクを層別化することは推奨されていない.しかし,これらのガイドラインの根拠となったメタ分析とその解釈は,あくまでもIMT計測の標準化以前の1990年代研究である.
・また,医学的判断に加え,費用対効果や検査再現性を鑑み,欧米の一般診療でのルーチン計測には有益性なしと判断したが,今後の前向き研究に期待する余地があることを強調したい.
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