扉
脳神経外科とホリステイック医療
黒岩 敏彦
1
1大阪医科大学脳神経外科
pp.3-4
発行日 2003年1月10日
Published Date 2003/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902325
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膠芽腫患者さんの治療時には,常に無力感に苛まれます.種々の方法を駆使して可及的に摘出し,適切な補助療法を行っても必ず再発します.5年生存率は20年前と全く変化がありません.現在まで,腫瘍そのものに目が向けられてきましたが,患者さんの体にも回復しよう治ろうとする力は常にあるわけで,この力を引き出して高める方向にももっと尽力すべきではないでしょうか.和田啓十郎氏が「医界之鉄椎」の中で書かれている自然良能,最近の言葉を使えば自然治癒力が程度の差こそあれ誰にでもあります.われわれ外科医は,病気を治すという意識が特に強いかも知れませんが,患者さん自らに自然治癒力がなければ創一つ治りません.抵抗力,免疫力,あるいは生命力と言ってもいいかも知れませんが,脳腫瘍の治療においても重要な要素です.
近年,代替医療なるものが注目されています.現代医学は科学に裏打ちされた西洋医学が主流ですが,それに替わるものあるいは補うものとの意味です.Alterna—tive medicineの和訳ですがcomplementaryという言い方もあり,こちらは補完または相補と訳されています.あるいは,併せてcomplementary and alternative medi—cine(CAM)とも言われ,日本語では補完・代替医療となります.お国柄の違いか,北米ではalternative,英国ではcomplementaryが使われるようです.
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