提言 PROPOSAL
態度を正して奇形問題にむかおう—サリドマイド禍研究班実現の意義
貴家 寛而
1
1福島医科大学
pp.371-372
発行日 1963年5月10日
Published Date 1963/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202803
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サリドマイド奇形児の問題は昨年の下半期の医学界の大きな話題のひとつであつた。西独で始まつたこの奇形児と睡眠薬の波紋は西欧諸国をゆさぶり,日本にもやつて来た。新聞を始めとし週刊紙や雑誌などのマスコミの波にのって大衆の好奇心はいやが上にもあおり立てられ,妊婦や婦人などは身近な問題として限りない不安と焦燥感に駆り立てられるに至つた。
現に妊婦外来では「何んとかと云う睡眠薬を飲んだことがあるが,お腹の子供は本当に大丈夫でしようか」とか「ビタミン剤と強肝剤を飲んでも良いでしようか」といい何か注射をすると「それで半陰陽にならないでしようか」などという。何かの必要があつて骨盤のレ線撮影を行なうような際にも同じような質問が次から次へと出てくる。
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