Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
末梢神経の外科—胸郭出口症候群,手根管症候群に対する外科治療
Surgery of Peripheral Nerve : surgical management for thoracic outlet syndromes and carpal tunnel syndromes
花北 順哉
1
Junya HANAKITA
1
1静岡県立総合病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Shizuoka General Hospital
キーワード:
peripheral nerve
,
surgery
,
thoracic outlet syndrome
,
carpal tunnel syndrome
Keyword:
peripheral nerve
,
surgery
,
thoracic outlet syndrome
,
carpal tunnel syndrome
pp.113-122
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901524
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I.はじめに
末梢神経に対する外科は,大きく分けて,外傷性末梢神経障害,絞扼性末梢神経障害,末梢神経腫瘍の三つの病態を対象としている.欧米の脳神経外科施設では,これらの病変に対する手術は従来から脳神経外科手術のかなりの割合を占めており,例えば絞扼性末梢神経障害に対する手術のみでも,脳神経外科で行われる全手術例の10-25%に達するとの報告もみられる6).一方,これに対して,わが国ではこれら末梢神経障害に対する脳神経外科医の関心は極めて低く,ごく限られた施設で行われているにすぎない.「脳神経外科」が,その創設時において,「脳,脊髄,末梢神経に関する外科」であることが明記されているにもかかわらず,従来までのわが国での脳神経外科の対象があまりにも頭蓋内病変のみに偏り過ぎていた点は否めない.近年,脊椎・脊髄疾患に興味をいだく脳神経外科医がわが国において,徐々に増加しつつあることは喜ばしいことであるが,神経系統を障害する疾患を,頭の先から足の先までトータルに観察し,的確な診断能力,治療能力を養うといった観点から,脊椎・脊髄にとどまらず,さらに末梢神経疾患に対するわが国脳神経外科医の関心,経験を増加させることが是非とも必要であると考える.当科では14年前の開設以来,脊椎・脊髄疾患に対して積極的に取り組んでおり,約2000例の手術症例を経験した.しかしながら,残念なことに,末梢神経疾患に対する手術例は未だ91例と少数である.外傷性末梢神経障害と末梢神経腫瘍に対する手術経験はいずれも数例のみであるために,本稿では比較的多数例を経験した絞扼性末梢神経障害に対する外科治療につき述べる.
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