Japanese
English
上肢疾患の診断と治療の進歩(新鮮外傷を除く) Ⅱ.疾患各論
6.神経障害・末梢神経疾患
2)胸郭出口症候群
胸郭出口症候群の診断と治療の進歩
Thoracic outlet syndrome:advances in diagnostic evaluation and treatment
佐竹 寛史
1
,
仁藤 敏哉
1
,
本間 龍介
1
,
長沼 靖
1
,
丸山 真博
1
,
澁谷 純一郎
1
,
宇野 智洋
1
,
高木 理彰
1
H. Satake
1
,
T. Nito
1
,
R. Honma
1
,
Y. Naganuma
1
,
M. Maruyama
1
,
J. Shibuya
1
,
T. Uno
1
,
M. Takagi
1
1山形大学整形外科
1Dept. of Otthop. Surg., Yamagata University Faculty of Medicine, Yamagata
キーワード:
thoracic outlet syndrome
,
endoscopic surgery
,
first rib resection
,
brachial plexus neurolysis
,
ultrasonography
Keyword:
thoracic outlet syndrome
,
endoscopic surgery
,
first rib resection
,
brachial plexus neurolysis
,
ultrasonography
pp.145-148
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei82_145
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は じ め に
胸郭出口症候群(TOS)の診断については古くから外科医と神経内科医との間で論争が繰り返され,いまだ確立した診断基準はない1,2).Roosテスト3)やWrightテスト4)は有用な検査ではあるが,偽陽性も多く,それだけでTOSとは診断できない.神経伝導検査で異常所見があり,筋萎縮がみられる症例はtrue neurogenic TOS5)とも呼ばれているが,当科を受診し,TOSが疑われた症例は神経伝導検査で異常がなかったことが圧倒的に多く,器質的異常所見がないかを調べるために超音波検査6,7)を導入した.
手術に関しては直視下斜角筋切離術8),鎖骨上アプローチ直視下第1肋骨切除術9),腋窩アプローチ直視下第1肋骨切除術10),および内視鏡視下腕神経叢剥離術11)などが行われてきたが,腋窩アプローチ内視鏡補助下第1肋骨切除術も行われるようになった12,13).内視鏡視下手術に関して以前は合併症が多かったが12),近年では安全で有用であることが報告され13),当科でも2016年に導入し,比較的安全に手術が可能となっている.さらに,肋鎖間隙に狭窄がなく,必ずしも肋骨を切除しなくともよいと思われる症例を経験し,肋骨を温存した内視鏡補助下斜角筋切離術も行ってきた.
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