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I.はじめに
内頸動脈瘤の中で,後交通動脈よりも近位部の硬膜内に発生する動脈瘤としてはophthalmic arteryaneurysm, superior hypophyseal artery aneurysmのごとく分岐血管が明らかな動脈瘤のほかに,分岐血管が不明の動脈瘤も発生しやすく,それらはその形状,発生部位の特徴などからdorsal ICA aneurysm13),carotidblister aneurysm21),carotid cave aneurysm6),C2—C3anellrysmなど様々な名称で呼ばれている.また,後2者の動脈瘤は柄部の一部が硬膜内に存在し,domeは海綿状静脈洞内に存在することも多い.後交通動脈よりも近位部の内頸動脈瘤については,このように様々なvariationがあるが,手術アプローチ.手術手技に関してはほぼ同一の方法にて対処可能である.本報ではこの部に発生する大型の動脈瘤を一括してparaclinoid largeaneurysmと呼ぶこととする.
Paraclinoid large aneurysmの手術が困難な理由としては,動脈瘤の全貌を明らかにするためには前床突起の十分な削除が必要となること,頭蓋内でのproximalcontrolが困難,clippingの際に動脈瘤内圧を減少させる必要があること,broad neckのものが多く内頸動脈の十分な管径を保ちつつclippingすることが困難,などの点が挙げられる.このようなparaclinoid aneurysmに対し,最近,われわれは血管内手術手技を応用して手術する方法を試みている11,12).その方法の概要は以下の通りである.1)脳動脈瘤の親血管にballoon catheterを導入し,これを血流一時遮断に用いる,2)大型動脈瘤ではdouble lumen balloon catheterから血液を吸引して脳動脈瘤をcollapseさせたうえで脳動脈瘤の剥離,clip-pingを行う(retrograde suction decompression),3)術中DSAにてaneurysm clippingの成功度を確認する.われわれはこれまで手術困難な脳動脈瘤症例30例以上に対しこのような血管内手術手技を応用した手術を経験したが,本稿では特にparaclinoidal large/giantaneurysmに対するretrograde suction decompression法併用の実際にいて概説する.
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