Japanese
English
総説
びまん性脳損傷—その臨床病理学的概念と分類
Clinicopathological Concepts and Classification of Diffuse Brain Injury
重森 稔
1
Minoru SHIGEMORI
1
1久留米大学脳神経外科
1Department of Neruosrugery, Kurume University School of Medicine
キーワード:
Diffuse brain injury
,
Diffuse axonal injury
,
Classification
Keyword:
Diffuse brain injury
,
Diffuse axonal injury
,
Classification
pp.973-980
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900732
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
臨床的に,外傷性脳損傷をびまん性および局所性脳損傷(Diffuse and focal brain injuries, DBI and FBI)に2大別する考え方が普及して,既に10年余が経過している7,13).この間,びまん性軸索損傷(diffuse axonalinjury, DAI)という病理学的概念1-3,6,14)が臨床にも取り入れられ5,15,16),最近では“DAI”という用語が臨床診断名ないし疾患名としても使用される傾向にある31).一方,CTやMRIなどの画像診断法の進歩に伴い,DBI症例の画像所見の解析についても多くの報告がみられる9,10,22,23,29,44,48).その結果,いくつかのDBIの臨床的分類が提唱されている5,13,15,16,22,24),しかしこのようなDBIの諸分類は,それぞれの発想の原点や分類の目的が異なっている.しかも,実際のDBI症例が示す頭蓋内損傷や臨床所見,さらにそれらの経過や転帰は極めて多彩である9,13,21,22,39,40).従って,DAIとDBIとの関係を含めDBIの取り扱い方に臨床上混乱を生じていることも否めない31).
DBIに関しては既に多くの優れた解説があるが21,29,30,46),本稿ではDBIの基本的損傷と考えられているDAIの臨床病理学的概念を整理し,DBIの臨床分類を中心に概説したい.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.