Japanese
English
総説
胎生期水頭症—その診断と出生後の病態の評価
Intrauterine Hydrocephalus—Diagnosis and evaluation of perinatal hydrocephalic conditions
伊東 洋
1
Hiroshi ITOH
1
1東京医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Tokyo Medical College
キーワード:
Hydrocephalus
,
Ultrasonography
,
Fetal anomaly
Keyword:
Hydrocephalus
,
Ultrasonography
,
Fetal anomaly
pp.119-128
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900597
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I.はじめに
中枢神経系の奇形の胎生期診断には超肯波診断装置の開発進歩に負うところが少なくない.同時にコンピューター診断装置によ精度の高い診断が可能となった.しかし,一方では母体内での早期治療の是非を論ずる期を迎えるに至り社会倫理学的川題を含め論議の中心は新たな段階に人ってきた.既に本邦では羊水内alpha-fetoproteinなどのmarker検査により,神経管閉鎖不全症の胎生診断を試みてきたが画像診断の普及と診断精度の高さからtrimester第1-2期15)に奇形や形態変化をrealtimeに診断出来るようになった.しかしながら,この手技を用いても解決されない問題がある.それは奇形を合併した脳組織の解剖学的構造の評価,特に診断時期における脳室/脳実質幅比,脳奇形の程度9),脳室内外での髄液の進行性貯留と子宮内での脳室内髄液圧,脳室拡大の判断が今一つ不明確であるという点である.したがって画像診断のみでは胎児脳の病態分析は不十分なことが少なくない12-14).現在,このような水頭症病態では胎内で外科的治療を進めるには余りにも資料が少ない.したがって,分娩後早期に病態分析を確定することが必要である.
本稿では形態上の胎生期診断例と出生後,これら症例が示した水頭症病態像を新生児頭蓋内圧,髄液内代謝物質など2-3の補助的検査を交え分析し,その予後成績について述べ胎生期水頭症の外科的治療とその限界に考察を加えた.
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