扉
Working in a very small place
森 惟明
1
1高知医科大学脳神経外科
pp.299-300
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900237
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1973年,レイモンディ教授のもとでシカゴ小児病院での2年間の小児脳神経外科のレジデント生活を終え,帰国までの1ヵ月間をどのように過ごそうかと考えていた.あれこれ考えた結果,その頃,microsurgeryが導入されつつあり,どこか適当な施設へmicrosurgeryの見学に行くのもよいのではないかという結論に達した.行先は,スイスのヤシャルギル教授のところを候補に挙げていたが,ピッッバーグ大学の小児病院脳神経外科部長に内定されていたシカゴ小児病院脳神経外科の指導医の一人が,microsurgeryであればピッツバーグのジャネッタ教授のところへ見学に行く方がよいのではないかとの勧めにより,ピッツバーグに行くことに決めた.そこで初めて顕微鏡下に微小血管減圧術(MVD)を見学する機会を得た.まだその頃はMVDの有用性を認める脳神経外科医は少なかったが,ジャネッタ教授の手術を直接見学し,その効果を直接確かめることができた.
それ以来,以前の奥さんが日本に興味を持っておられたこともあり,個人的交際を続けることになった.日本から朝日新聞が出していたJapan Quarterlyを送ったり,何回か互いに家庭訪問をし合うようになった.昭和56年,高知医科大学脳神経外科開講のため京都大学より高知に移ってからは,小児神経外科のみならず一般脳神経外科の診療も行うようになり,MVDも手がけるようになった.短期間で200例近くの症例を経験し,昭和59年,ジャネッタ教授に高知でMVDについて講演してもらった時に自験例を提示したところ,短期間にこれだけ多くの症例を経験したことにびっくりされた.
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