読者からの手紙
「ガンマナイフ照射11年後に出血を来した脳動静脈奇形の1例—免疫染色による再開通現象の検討—」の論文(44(12):1045-1051,2016)について—脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療後の囊胞形成機序
周藤 高
1
,
黒田 敏
2
,
浜田 さおり
2
1横浜労災病院脳神経外科
2富山大学医学部脳神経外科
pp.613,642-643
発行日 2017年7月10日
Published Date 2017/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203564
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貴誌に掲載されました浜田さおり先生らの症例報告「ガンマナイフ照射11年後に出血を来した脳動静脈奇形の1例—免疫染色による再開通現象の検討—」1)を興味深く拝読しました.私は約30例の同様の合併症への手術経験から,その発生機序に関して報告してきました3,4).浜田先生らがFig.3において示した囊胞に接する造影効果を呈する病変は本病態の本質ではありますがnidusの一部ではなく,遅発性合併症として脳実質内に生じた内皮損傷を伴う拡張毛細血管の集簇であり,術中に赤い結節性病変として確認できます3,4).浜田先生らの例は,ガンマナイフ照射後に生じた内部に出血を伴う遅発性囊胞形成として捉えるべきものです.Fig.4に示される血管は微細でMRI上の結節性増強効果と一致するとは考えにくく,血管撮影でnidusや導出静脈が描出されないことからも再開通が病態の主体とも考えにくく,再開通と囊胞形成の関連も不明です.定位照射後のAVM再開通における血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells:EPCs)関与の可能性は否定できませんが,再開通と囊胞形成は分けて論ずべきと考えます.本例における囊胞形成や囊胞内出血は,機能不全を伴った血管内皮からの蛋白漏出や出血がその本態で,AVMに特異的な合併症ではなく,実際に転移性脳腫瘍や聴神経腫瘍でも同様の報告があります2,5).
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