脳神経外科診療に役立つ薬物療法の知識
下垂体疾患に対する薬物療法
西岡 宏
1
Hiroshi NISHIOKA
1
1虎の門病院間脳下垂体外科
1Department of Hypothalamic and Pituitary Surgery, Toranomon Hospital
pp.67-72
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203452
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Ⅰ.はじめに
内分泌組織の1つである下垂体から発生する腫瘍性病変は,脳腫瘍としてだけでなく内分泌腫瘍としての性格も有する.すなわち,自律性増殖を示す腫瘍でありながら他の内分泌腫瘍と類似し,一部の腫瘍はホルモン受容体を発現しており,このことが治療に用いられている.一方,下垂体疾患あるいはその治療により下垂体機能低下症や尿崩症を来した場合は,継続的に適切なホルモン補充療法が必要となる.これらホルモンの過剰および欠乏はそれに伴う症状だけでなく,長期的なQOLや生命予後に影響することが明らかになっている.したがって,下垂体腫瘍性病変の外科治療を直接担当する脳神経外科医だけでなく,これらの患者を長期に外来でフォローしていく脳神経外科医にも,これらの薬物療法の知識は必要である.本稿では下垂体疾患に対する薬物療法について記述する(Table).
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