Japanese
English
総説
脳波からみた意識障害
Various States of Impaired Consciousness Observed from EEG
久保田 有一
1,2
,
中本 英俊
1,2
,
大城 信行
1,2
,
菊田 敬央
1,2
,
野村 俊介
3
,
宮尾 暁
3
,
松岡 剛
3
,
石井 暁
3
,
川俣 貴一
3
Yuichi KUBOTA
1,2
,
Hidetoshi NAKAMOTO
1,2
,
Nobuyuki OSHIRO
1,2
,
Yoshichika KIKUTA
1,2
,
Syunsuke NOMURA
3
,
Satoru MIYAO
3
,
Go MATSUOKA
3
,
Akira ISHII
3
,
Takakazu KAWAMATA
3
1朝霞台中央総合病院脳神経外科
2朝霞台中央総合病院脳卒中・てんかんセンター
3東京女子医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Asakadai Central General Hospital
2Stroke and Epilepsy Center, Asakadai Central General Hospital
3Department of Neurosurgery, Tokyo Women's Medical University
キーワード:
impaired consciousness
,
nonconvulsive status epilepticus(NCSE)
,
continuous EEG monitoring(cEEG)
Keyword:
impaired consciousness
,
nonconvulsive status epilepticus(NCSE)
,
continuous EEG monitoring(cEEG)
pp.5-18
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203200
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Ⅰ.はじめに
意識は,脳神経外科医のみならず,すべての人類の関心事項である.しかし多くの脳神経外科医は,日々臨床において意識や意識障害を扱っていながらも,その実体をなかなか捉えていないことも事実である.一般に意識を構成するものとして,覚醒と認識があることが知られている.覚醒,すなわち起き続けていることは,中脳橋被蓋から視床までに存在する上行性脳幹網様体賦活系(ascending reticular activating system:ARAS)で睡眠・覚醒リズムが調整されていると考えられている15).認識とは,周囲への認識や外部刺激への注意であり,特に優位脳半球を中心とした広汎な大脳皮質が関与している.意識障害とは,それらの部位が脳卒中,外傷,また脳腫瘍などにより障害を受けることで出現する.また薬物やアルコール,低血糖,低血圧,呼吸障害といった全身疾患の二次的な結果でも意識障害を呈することがある.また一括りに意識障害といっても,軽度の意識障害,すなわち見当識障害から,Japan Coma Scale(JCS)Ⅲ桁の昏睡まで含まれる.意識の状態を厳格に定量化することはなかなか難しい.CTやMRIといった画像検査や採血結果との乖離がある場合もあり,それらのみでは一概に説明できない.脳波は,従来てんかんの診断で有用であると考えられていたが,近年デジタル脳波計の普及とともに意識障害の評価として見直されている.今後,脳波は,意識状態を経時的に評価できる脳モニタリングとして脳神経領域でますます利用されるものと思われる.
本稿では意識障害でみられるさまざまな脳波パターンについて解説する.
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