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連載 脳卒中専門医に必要な基本的知識
(6)脳出血
Required Knowledge for Stroke Specialists(6)Intracerebral Hemorrhage
髙木 康志
1
Yasushi TAKAGI
1
1京都大学大学院医学研究科脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Kyoto University Graduate School of Medicine
キーワード:
brain hemorrhage
,
surgical treatment
,
evidence
Keyword:
brain hemorrhage
,
surgical treatment
,
evidence
pp.79-84
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202952
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Ⅰ.脳出血の臨床疫学と機序
「平成25年国民生活基礎調査」の概況によると要介護者の介護が必要になった主な原因は脳血管疾患が21.7%で第1位である.特に要介護4,5の原因としては,その3割以上を占めている.一方,「平成24年人口動態統計」によると,全死因における脳血管疾患の占める割合は9.7%で,悪性新生物,心疾患,肺炎に次いで第4位を占めている.この中で脳出血は死亡数が人口十万人あたり33,605人で脳血管疾患全体の27.6%を占める(ちなみに脳梗塞は59.2%).わが国における非常に重要な疫学研究である,秋田県脳卒中登録では,脳出血が脳卒中のおよそ30%を占めており,この割合は前述した全国における調査結果とほぼ同様である.この全脳卒中における脳出血の割合は,多くの西側先進国と比べて2倍以上である.
脳血管の解剖学的・機能的な特徴は血液脳関門であり,内皮細胞のtight junctionをはじめとする構造的バリアーおよび選択的透過を行う種々の機能的バリアーからなる.物質透過性が低いため,血液供給が低栄養状態に陥ると,脳のみならず動脈壁も病変が生じやすくなる.外膜側の栄養血管が存在せず,動脈壁の栄養は内膜側からの透過に依存度が高いことも傷害されやすい原因である.また脳動脈の内弾性板は極めて小さな有窓構造で数も少ないため.物質の透過が困難のみならず,うまく平滑筋細胞が内弾性板をくぐり内膜へ遊走するのを困難にしており,内膜肥厚が生じにくい.
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