扉
Lights in the Great Darkness—脳神経外科の将来
永井 政勝
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1獨協医科大学脳神経外科
pp.107-108
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202766
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表題の"Lights in the Great Darkness"はワイルダー・ペンフィールドが1971年のHarvey Cushing orationで掲げたものである(J Neurosurg 35:377-383,1971).この時Harvey Cushing Societyは丁度創設40周年目であった。日本脳神経外科学会は先般創立40周年を盛大に祝ったが,単純計算で行くと米国に17年先を越されているということになる.ペンフィールドはこの演説の中で,前世紀から発展のめざましいNeurologyが治療の面ではなお無力であることにあきたらない人々が,天才的なクッシングを中心にして夢を追い求め,殆ど未開の暗黒の領域に次々と光をともして行く過程を描いている.そして手術手技も発展して来たがそれだけに満足していられず,脳神経外科医であると同時に神経生理学者としての眼を持てるようになってはじめて水平線のかなたにあまたの光を見ることが出来るようになったと言っている.彼の偉大な業績を思えばまことによく理解できる言葉である.彼にはまたカハールのもとでの研鑽に基いた神経病理学の大著書があるのも御存知の通りである.
1965年の秋,ペンフィールド博士がたまたま東大脳神経外科に来られる機会があり,この偉大な学者の謦咳に接することが出来た.佐野教授が椿山荘に招待され,ともに食事をしながらわれわれ若い医局員にもまことに気さくに話しかけられた.
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