扉
"還暦"と私
森 和夫
1
1長崎大学脳神経外科
pp.1437-1438
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202735
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子供は,もういくつ寝るとと指折り数えてお正月を待つ.早く大人になりたいと願う.しかし,私には胸ときめかして待つものがない.特に願うこともない.老化のテンポについて,私だけの引き延ばされた時間軸が使えないものかとは思う.しかし,勿論かかるお願いが叶う筈もない.
還暦とは本卦還りともいう.60年たって,生まれた干支(えと)に再び還ることだが,私も赤い頭巾に赤いチョッキや羽織下を着て,赤座布団の上にチョコンと座って教室の先生方のお祝いを受けた.照れくさいやら,馬鹿らしいやらで,"俺はまだ老人じゃないぞ! コケにするな!"と叫びたくてウズウズしていた.法律の上でも,いろいろの統計をとる場合でも,老人は65歳からとなっている.
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